コラム

デジタルビジネスの成長にあわせ増大する運用の負荷

デジタルビジネスの成長にあわせ増大する運用の負荷

2016年6月23日

 

著者: 河村 拓

小学生時代をアメリカ合衆国カルフォルニア州で過ごす。慶應義塾大学総合政策学部を卒業し、2009年4月に株式会社ビーエスピーに入社。提案から要件定義、設計、実装までを、プロジェクトマネージャーまたはPMOとしてワンストップで担当。複数サービス・部門・企業を横断したプロセス標準化やシステム共通化のプロジェクトを、手戻りなくスケジュール通り遂行する業務改革ノウハウに強みを持つ。

こんにちは、デジタルビジネスの運営に関するコンサルティングを担当している河村です。
今日は、デジタルビジネスの成長期の特徴について書きます。

図:デジタルビジネスのライフサイクルとITの課題

前回も書きましたが、立ち上げ期はスピード優先で良いものの、事業が順調に成長すればするほど、運用業務の課題が急速に大きくなるのが、ITがビジネスと融合しているデジタルビジネスの特徴となっています。
デジタルビジネスの場合、事業が成功して需要が増えれば増えるほど、日々のトランザクション数やアクセス数も爆発的に増加します。これに対応するため、頻繁にITインフラの増強やアップグレード対応を行いますが、それに比例してその後の日々のオペレーションや保守対応も増加します。
また、デジタルビジネスは立ち上がってからも継続的に改善を行うアジャイル型の運用となります。事業の差別化のために毎週のように新機能追加や機能強化の開発・変更・リリースを行うことになります。これを繰り返した結果、システム規模はみるみる拡大し、同時に複雑化も進みます。結果的に担当業務は細分化し、様々な技術が部分最適に活用され、属人化が進みます。
業務をアウトソーシングする際にも問題が発生します。個別のサブシステムごとに異なるベンダーに開発・保守を委託している場合、システム間をまたがる問題が発生した際には常に社員が間に入って調整をすることになります。しかし、システムが複雑化し業務の属人化が進めば進むほど、全体を理解できる人が減るため、トラブルが多く発生したり、復旧に多くの時間と工数を要したりするようになります。
こうして全体でのナレッジ共有の必要性が顕在化します。しかし、担当者やベンダーに依存した部分最適な運用プロセスやルール、ツールが一度定着してしまうと、情報共有も簡単ではありません。情報共有のための管理工数が膨らむことになり、結果的に定着化せず形骸化してしまいがちです。
このようなことが積み重なり、デジタルビジネス運営の有効性・効率性は大きく低下します。運用業務の見直しのタイミングです。事業の成長・拡大を支えるためのスピードと柔軟性を確保するには、ITサービスマネジメントを取り入れたプロセス標準化・最適化を行い、業務効率化を推進することが重要となります。
注:ITサービスマネジメント=ビジネスの需要に適したITサービスを効率よく提供および管理するための方法論
ITサービスマネジメントについては、また別の機会に詳しく書きたいと思います。

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