コラム

DXを下支えするIT組織が直面する2つの課題⑦~IT組織が目指す事業への貢献方法~

DXを下支えするIT組織が直面する2つの課題⑦~IT組織が目指す事業への貢献方法~

2024年2月8日

 

著者: 鈴木 智裕

2007年 株式会社ユニリタ(旧社名:株式会社ビーエスピー)入社。ITIL関連、運用改善コンサルティング、人材育成セミナー講師などを担当。コスト削減、ITのビジネス貢献・価値向上といった上流の課題から、現場レベル課題の改善までお客様の潜在的なニーズを見つけ提案型でオールラウンドに施策の立案、実行の支援が可能。

IT部門がリソースとコストの課題をクリアした先に向かう先は

今まで、掲題の課題への対応について述べてきました。これらはリソースとコストの余力をどう作るかになります。
では、最終的にその先に何を見据えるか。それが今回のテーマとなります。

先に結論をお話すると、「事業組織側で推進するDXを推進するチームに参画し、DXを加速させる機能を担う」ことだと考えています。
※ここでのDXはデジタルによりビジネスモデルを変革し、企業成長や競争優位性を確立すること指しています。

ではなぜ、DXを加速させるをIT組織が担うべきだと考えるのか。

事業成長のステージと潜在的な運用課題の存在

DXの潮流により、既存の事業をデジタルを使い新しいデジタルサービスを開発・販売する事業が数多く立ち上がっている中、事業オーナーは事業を成長させるため、様々な問題解決に奔走されていると思います。

ステージ 立ち上げ
事業の企画開発から初期ユーザの獲得まで
事業化
数社~数10社程度の顧客は有するが、黒字化には至っていない
損益黒字化
通期で黒字化しており、安定的な収益を上げれる段階
事業拡大
PMF※を達成し、需要に対して供給が追い付かない
課題 •競争優位性のあるアイデアの創出
•サービスの実装
•開発リソースの捻出
•スピード感のある開発基盤
•パイロットユーザ発掘
•リード創出/育成
•販路獲得
•初期品質トラブル
•運用体制立ち上げ
•運営基盤の整備
•サービス強化
•解約率低減/クロスセル・アップセル
•事業拡大に備える標準化と効率化
•アウトソーシングを活用した体制強化

※PMF(Product Market Fit):顧客が満足するプロダクト(商品)を適切な市場で展開し、受入れられていること

 

事業オーナーをはじめとする事業主体の方は、立ち上げから高速にPDCAを回し、サービスを世に出し、顧客に価値を届けることがミッションとなります。
その過程でサービスを開発したり、運用を行っていくために必要になる仕組みはあくまでも事業成長のための「手段」の位置づけになります。
そのため、成長という「成果」に対してフォーカスするため、「手段」として仕組みをどうしていくかにパワーをかけきれない実態があると考えています。

そういった中で、事業ステージが進むことで以下に記載するケースなどの運用課題が顕在化してくるのです。

<初期品質トラブル>
初期の顧客が獲得され、本格的にサービスが利用される段階です。デジタルサービスの場合、急激な利用増加によりキャパシティ上の問題が出たり、運用が固まっていない中でミスが発生する可能性が高くなります。どの程度の利用者ならどの程度のキャパシティとするべきかなど設計上のノウハウを持たない中での対応となり、結果としてサービス停止などの重大なトラブルが発生し対応に追われてしまいます。特に、デジタルサービスなどを顧客に提供しているものが停止するといったトラブルは事業そのもの影響は図りしれません。

 

<事業拡大に備える標準化と効率化>
損益が黒字化し、増加スピードが上がりだした頃は、立ち上げメンバーのエースが獅子奮迅の活躍をしているだけでは、いよいよ回りきらなくなっていきます。スピード優先でドキュメントなどが整備されず、運用を引き継ぎたいといった意向があっても、それを引き継ぐことが難しい状況になっていくと想定されます。この段階にくると、立ち上げ時期から事業を牽引してきたエース人材が身動きが取れない状況になってしまいます。

 

<アウトソーシングを活用した体制強化>
市場にサービスが受入れられ、顧客数が飛躍的に伸びる段階においては、社内からの人材供給だけでは足りず、大規模にアウトソーシングを行うことで、貴重な社員リソースを新たな顧客への価値創造にシフトしていく必要がある段階となります。どういった業務をどこまでアウトソーシングできるのか。アウトソーシングを行う為にはどんな事前準備が必要なのかと事業オーナーが今まで経験してこなかった課題が出てきます。これらの課題についても、迅速に対応できなければ、オンボーディングやカスタマーサクセスの活動なども不足が生じ、機会損失を発生させるだけでなく、メンバーが疲弊し、離脱してしまうリスクにもなってきます。

 

IT部門ならではの貢献方法

前述した状況は、IT部門の担当は既に経験をしている課題ではないでしょうか。
IT部門の中では大小あるとは思いますが、これら課題を防ぐ仕組みも設けられているのではないでしょうか。IT部門目線では当然の取り組みでも事業領域から見ると非常に貴重な知見になると思います。

この知見を事業のステージごとで顕在化する課題が発生させる前に、「転ばぬ先の杖として」立ち上げ時点からDXプロジェクトに参画し、ビジネスとデジタル(IT)を繋ぐ役割は、確実に必要となり、確かな貢献といえるのではないでしょうか。

具体的にどういった参画の仕方、貢献方法、そのための事前準備などありますが、それはまた別の機会にご説明できればと思います。

 

本コラムのまとめ

今まで全7回にわたり、DXを下支えするIT組織が直面する2つの課題として社員のリソースとコスト、それらを解決するためのソーシング&ベンダーマネジメント。
そしてその先にどういった貢献をするかを述べてきました。

本コラムで述べたことが今後の変革を進める方の一助になれば幸いです。
本コラムに興味をもっていただき、もっと色々聞いてみたいとなりましたら、是非お問い合わせください。
皆様とディスカッションできることを楽しみにしております。

最後に、全7回と回数も多く、長文のコラムとなってしまいましたが、最後までご拝読いただき誠にありがとうございました。
今後もテーマを新たに情報発信していきますのでチェックいただければ幸いです。

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