コラム

DXを下支えするIT組織が直面する2つの課題①~運用コスト削減と社員の役割変革の必要性~

DXを下支えするIT組織が直面する2つの課題①~運用コスト削減と社員の役割変革の必要性~

2023年7月19日

 

著者: 鈴木 智裕

2007年 株式会社ユニリタ(旧社名:株式会社ビーエスピー)入社。ITIL関連、運用改善コンサルティング、人材育成セミナー講師などを担当。コスト削減、ITのビジネス貢献・価値向上といった上流の課題から、現場レベル課題の改善までお客様の潜在的なニーズを見つけ提案型でオールラウンドに施策の立案、実行の支援が可能。

多くのIT組織が直面する2つの課題

企業のIT組織をクライアントにコンサルティングを行っておりますが、その中でも大きく二つの課題についてご相談をいただきます。

 

コスト面の課題

一つ目はコストの課題です。以下は企業が維持管理(ランザビジネス)と新たなビジネス展開(バリューアップ)にかける予算配分を示した資料です。

出典:日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)『企業IT動向調査2023』

もう一つの資料はIT投資額の増減率を示したものです。10%未満増加の比率が高まっており、限定的ではありますが、IT予算も増加傾向にあるといえます。

出典:日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)『企業IT動向調査2023』

二つのデータを重ねてみると、IT予算は増加傾向となっているものの、依然として維持管理にかける予算が大きいことが見て取れます。

では維持管理にかける費用とはどういった構成となっているのか。公のデータは見つかりませんでしたが、過去の支援実績では大手企業でおおよそ55%程度が役務に係るコストにかけており、そのほかはデータセンター利用料やサービスのライセンス料などで構成されておりました。ライセンス料などは調達の一括化などで削減余地はありますが、限界もあり、役務コストへの削減要求が高いという実態があると感じています。

 

リソース面の課題

二つ目の課題は、社員が新たな役割を担うためのリソース上の課題です。社内でDXプロジェクトが立ち上がるも推進者の不足、セキュリティガバナンスの強化に向けた基盤刷新など、大型のプロジェクトがある中で、多くの業務に従事するIT組織の社員の負荷が高止まりしている状況も見受けられます。

IT組織の体制にもよりますが、システムや技術領域ごとに担当を設置する体制においては、社員が企画、開発、移行、保守・運用のライフサイクルの全体を担うケースも少なくありません。

本来、事業やIT戦略機能に注力してもらいたくても、保守・運用に手がかかり、新しいことにアサインができない状況といったことはないでしょうか。
保守・運用をベンダーに委託はしていても、社員機能として対応すべき部分(ex:事業サイドからのIT化相談、障害対応のコントロール)が残り、なかなか新しいことに注力しずらい状況があると感じています。
人手不足という言葉の真意の一つとしては、ベンダーに委託できない社員業務の側面があるのだと思います。

維持管理に係る特に役務コストの課題を抱えつつ、社員のリソースの課題という二つの難題を多くの企業が抱えているのではないでしょうか。
一見すると、コストを下げてやること増やせといった相反するかのように見える課題へ対応を求められ、難しさを日々感じ業務にあたっていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

これから、これらの課題にどう立ち向かうべきなのか。それを進める上で特に意識すべきことは何なのか。

サービスマネジメントと運用と主戦場とするコンサルティングのご支援経験をもとに、これら課題への対策方法について一つの解を今後数回に分けてお話していきたいと思います。
お手すきの際にお付き合いいただければ幸いです。

 

 

 

 

 

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