コラム

競争力を生み出すマネジメントスタイル/業務プロセス

競争力を生み出すマネジメントスタイル/業務プロセス

2018年9月20日

 

著者: 鈴木 智裕

2007年 株式会社ユニリタ(旧社名:株式会社ビーエスピー)入社。ITIL関連、運用改善コンサルティング、人材育成セミナー講師などを担当。コスト削減、ITのビジネス貢献・価値向上といった上流の課題から、現場レベル課題の改善までお客様の潜在的なニーズを見つけ提案型でオールラウンドに施策の立案、実行の支援が可能。

労働人口の減少がもたらすこと

前回はデジタルトランスフォーメーションによる業界構造の変革について語りましたが、今回は更に大きな潮流とそこから我々実際に身近に変化として起こる影響、そしてどうするべきかについて記載してみたいと思います。

 

以下の図表は総務省が毎年発行している情報通信白書に記載される日本の人口推移のグラフとなります。

出典:平成29年度版 情報通信白書 総務省発行
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc135230.html

 

働き方改革の前提となるデータでもありますが、15歳~65歳の層で年間3%~4%の労働人口の減少推移が予想されています。こういった潮流に対して、企業は成長を求められるため成長のために取り組みたいことがあっても、人が足りないという状況が顕著に現れます。実際に私が支援するお客様でも新たなサービスを開始するという最も注力したい部分においてもパートナーなしでは取り組みを行うことが難しい状況が顕在化しています。

 

人が足りないという状況は、売り手市場として人材の流動性は高まり、より働き甲斐、ワークスタイル、報酬など望む条件を求め、特に能力が高い人材ほど一つの企業にとどまる可能性が低い状況が構造的に発生します。

 

人材こそが競争力の源泉となる

能力が高い人材の流出が意味することは、新たな事業やサービスを創出する上でクリティカルな影響を与えると考えれます。それは、多くのケースで事業やサービスの創出という業務の難易度が高いと考えられるからです。

 

どうでしょう。マネジメントに携わる方で取り組みたい事項があるが、任せられる人材が現段階で不足していると感じる経験はないでしょうか。
前述した背景からそれがより顕著になることが想定されます。

 

新たなマネジメントスタイルの確立へ

では、そういった背景の中でマネジメントとして何をすべきなのかについてです。今回はその中でいくつかの要素について説明します。

 

まず第一に人材の流出を防ぐ必要があります。そのために職場をより働きたいと思える魅力的なものにすることが必要になります。人により職場に求めることは異なるとは思いますが、報酬などの経済的要因を除いて考えるならば、私は働き甲斐というものに着目しています。

例えば
①職務を通じて周りに対する貢献を実感できる。
②職務を通じて成長を実感できる。

他にもいくつも挙がると思いますが、なんらか面白みを働く人に提供できているかという視点が必要になります。

 

二つ目に取り組みたい事項を任せる人材を増やす必要があります。そのためには人材の育成が必要となります。一つ目の働き甲斐で挙げた成長を実感できるかという点にもつながりますが、仕組みとして人材が成長できる環境を提供できるかどうかが重要となります。
求める人材像にもよりますが、新たな事業やサービスの創出できる人材にフォーカスするならば、そういった経験を積むことができる枠組みが現状の業務の中に存在するかどうかという視点を持つことが重要です。

 

最後に挙げるのは、人材の流動性に耐えうる業務プロセスの整備が必要になります。新しいことに取り組むためには、相応のリソースをかける必要があります。
人の入れ替わりにより都度引継ぎに大きな負荷をかけている状況がある場合、その対応に追われてしまい余力がなくなってしまします。バーナード・サイモンによる「計画のグレシャムの法則」を参考にした考え方からもルーチンは想像性を破壊するとありますが、人の入れ替わりの対応で余力を失ってしまえば、新たなことに取組みづらい状況が発生してしまいます。

 

人に依存しない仕組みとしての業務プロセスを構築することが、結果として人材の成長を促し、競争力につながると私は考えます。

 

今すぐ取り組まないことでの影響は少ないかもしれません。しかしながら、5年10年のスパンで考えた際に、大きな差となって表れてくるポイントなのではないかと思います。

 

終わりに

今回不安をあおるようなコラムとなってしまいましたが、重要なことは将来を正しく見据え、如何に準備をするかだと思います。

では何から始めて、何をすればいいのか。私自身も自分事として、お客様と共に解決できるすべを一緒に考え汗を流していきたいと思います。
そこで得た様々なお客様とご一緒に築き上げた知見を提供していければと考えています。

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