コラム

デジタルビジネスのシステム運営効率化に有効な「ITサービスマネジメント」とは?
2016年8月23日

著者: 河村 拓
小学生時代をアメリカ合衆国カルフォルニア州で過ごす。慶應義塾大学総合政策学部を卒業し、2009年4月に株式会社ビーエスピーに入社。提案から要件定義、設計、実装までを、プロジェクトマネージャーまたはPMOとしてワンストップで担当。複数サービス・部門・企業を横断したプロセス標準化やシステム共通化のプロジェクトを、手戻りなくスケジュール通り遂行する業務改革ノウハウに強みを持つ。
こんにちは、デジタルビジネスのシステム運営に関するコンサルティングを担当している河村です。
今日は、デジタルビジネスのシステム運営効率化に有効である「ITサービスマネジメント」とは何かについて書きます。
ITサービスマネジメントの定義:
ITサービスマネジメントとは、事業のニーズを満たす良質のITサービスを実施および管理することを指します。ITサービスとは、顧客や利用者の視点から見たITを指し、その中には利用するITシステムに加え、それらを稼働させて利用可能にするためのあらゆるプロセスやそれを行う人・組織も含まれます。
デジタルビジネスの場合、ITサービスはデジタルビジネスそのものであり、事業のニーズとしてはビジネスの売上・利益目標の達成や、ユーザー満足度の向上などが当てはまります。
ITサービスマネジメントを実施する効果:
デジタルビジネスにおいてITサービスマネジメントを実践することで、体系立てられた手法に基づき、組織は以下の項目を実現することが可能となります。
- サービスのユーザー満足度を向上させる(リピート率の向上)
- デジタルビジネスのIT戦略を経営戦略と整合させる
- デジタルビジネスのシステム運営の品質向上、スピードアップ、工数削減を継続的に推進する
- デジタルビジネスのシステム運営のパフォーマンスを測定、モニタ、および最適化する
- ITの投資と予算を管理する
- リスクを管理する、IT統制やITガバナンスに対応する
- ナレッジを管理する
- ITコストを最適化/削減する
など
ITサービスマネジメントのベストプラクティス「ITIL®」:
デジタルビジネスにおいてITサービスマネジメントを実践する際には、業界で広く利用されているベストプラクティスである「ITIL」を活用することが有効です。実際のシステム運営業務をITILに照らし合わせてギャップを分析することで、どこに問題があるのかを効果的・効率的に洗い出し、標準化に向けた対策をうつことができます。
※ITIL:
ITサービスマネジメントの分野において、最も広く認知され、信頼されている、ベストプラクティス(成功事例)のこと。ITサービスマネジメントのための各種標準プロセスが記述されている。ITIL®の出所は英国商務局(OGC : Office of Government Commerce)である。日本におけるITILの普及促進を目的として、itSMF ジャパンが2003年5月に設立されている。
ITILの構成:
ITILは、サービス・ライフサイクルの5つの段階(ストラテジ、デザイン、トランジション、オペレーション、継続的サービス改善)で構成されており、それぞれに標準プロセスや機能が定義されています。
次回からは、これらのプロセスや機能についていくつかピックアップし、デジタルビジネスで実践する際のポイントを解説したいと思います。
ITIL® はPeopleCert Group の登録商標であり、PeopleCert Group の許可のもとに使用されています。すべての権利は留保されています。