医療機器のDXを支える構成管理|富士フイルムメディカル株式会社様

富士フイルムメディカル株式会社様

メーカー国内販社として、医療機器・システムの販売および保守サービスを手がける
富士フイルムメディカル株式会社では、営業・サービス一体のビジネス戦略をさらに強化するために、それぞれ個別に利用していた顧客管理システムを統合することに。その核心とも言うべき詳細な構成管理をいかに実現したのか、お話を伺いました。

OVERVIEW課題背景
  • 営業事業部とサービス事業部の支援システム(顧客管理システム)は別々のものを使用していたため二重管理が発生。また、納入機器詳細の管理がExcelなどのファイル管理になっていた ことで、事業部間での情報共有・連携に影響を及ぼしており、機器情報の確認や集計などに対して煩雑で時間を要する原因となっていた。
CHALLENGEお客様の挑戦
  • それぞれ別々の支援システムをSalesforceに統合した上で、 顧客に納入した医療機器・システムの細かな構成要素まで  一元的に管理する機能を追加。営業・サービスの連携強化による顧客提供価値の最大化を目指す。
APPROACH当社のアプローチ
  • Salesforceのアドオンアプリとしてリリースしたばかりの構成管理SaaS製品「Blue Sheep(ブルー シープ)」を、統合支援システムに組み合わせ導入することを提案。
  • 「Blue Sheep」導入に先立ち、「構成管理導入コンサルティングサービス」で製販分離のメーカー販社ならではの課題を整理。それを踏まえて「Blue Sheep」の機能をエンハンスしていく共創型の構成管理プロジェクトを推進。
RESULT成果
  • Salesforceに統合された支援システムから、顧客情報や納入した医療機器・システムに関する詳細情報(関連オプションや ソフトウェアのバージョンなど構成情報を含む)などすべてにアクセスでき、必要な情報を探す手間や時間を大幅に削減。
  • 適切なタイミングでの機器・システム更新のほか、IMDRFなど医療情報セキュリティガイダンス対応を見据えた、レガシー 機器やソフトウェア脆弱性の見える化も実現。

     営業とサービスの管理システム統合とあわせ、     よりきめ細かな構成管理が課題に

 かつての写真フィルム事業から医療・美容などヘルスケア領域へと、主力ビジネスを大きく転換した富士フイルムグループにおいて、製販分離の国内販社として医用画像機器・システムの販売および保守・サポートサービスを手がける富士フイルムメディカル株式会社。国内トップクラス規模の営業・サービスを擁する同社では、2020 年前後から“市場の見える化”と“商談の見える化”に取り組んできましたが、分散する各種管理システムの統合によるデータの一元管理が課題となっていました。営業DX ・サービスDX に向けた取り組みの背景について、両氏は次のように語ります。

 

松山氏:

「営業系とサービス系の管理システムは立ち上げた時期も異なり、様々な種類の管理システムをそれぞれ個別に運用していたため、営業・サービス一体のビジネス戦略をさらに推し進める上でネックになっていました。納入した医療機器・システムに関する過去の履歴と最新状況を見える化するため、分散している管理システムを統合し、データを一元管理する必要がありました」

千々木氏:

「管理システムが2 つあることで、管理・運用も二重になり、無駄を生んでいました。また、営業による見積もりや更新提案などの商談、サービスによる保守サービス提供など、お互いの活動は必要に応じてメールや口頭ベースで共有するしかなく、非効率でリアルタイム性も欠けていました。お客様に最適なタイミングで提案やサービスを提供するためにも、共通の管理システムが必要でした」
 営業事業部が利用するSalesforce に管理システムを一本化することにした同社ですが、もう1つクリアすべきハードルがありました。製販分離のメーカー販社と言いつつ、富士フイルムの完成品をそのまま設置して納品完了ではなく、顧客ニーズにあわせた構成で納入することも多くあります。例えば機器の場合、様々なオプションソフトを現場で組み込んだり、システムの場合、富士フイルムが開発したシステムを独自構築のハードウェアにのせて導入したりといった具合です。特約店経由で納入するパターンもあり、これら付帯するオプションや複雑な商流なども一体的に管理する必要があります。またソフトウェアに関しては、万一脆弱性が発見された際に漏れなく迅速に対策できるよう、OSS など構成部品にまでブレイクダウンした管理が求められます。こうした構成情報については、個別にExcel などで管理していましたが、今回統合を目指す管理システムに構成管理機能を追加することで、稼働するすべての医療機器やシステムに関連する構成情報まで一元管理することにしました。

松山氏:

「医用画像情報システムのソフトウェアは、汎用のソフトウェアを部品として使ったり、弊社が独自に開発したり様々なものがありますが、いずれの場合も機能強化・拡充に向けて頻繁にバージョンアップされます。当然、納入済システムをアップデートすることになりますが、その都度あちこちに散在する情報を調べ、該当するシステムの納入先を割り出す必要がありました。構成管理システムを導入し、いわゆるSBOM を実現すれば、対象となるシステムを瞬時に判別でき、漏れなく迅速にバージョンアップできるようになります」

千々木氏:

「Salesforce の標準機能では、納入した機器やシステム自体は管理できますが、それに紐付くオプションソフトなど、構成要素までブレイクダウンして管理することはできません。Salesforce を基盤として構成管理機能をアドオンすることができないか、検討を進めました」

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図:構成管理システム構築後の姿

コンサルからはじめ、「Blue Sheep」のファーストユーザとして 協働で追加開発を進める

 Salesforce に管理システムを統合しつつ、より粒度の細かな構成管理を実現すべく動き出した同社。相談した株式会社セールスフォース・ジャパンから紹介されたのが、ビーエスピーソリューションズの構成管理SaaS 製品「Blue Sheep」でした。2020 年5 月に最初のバージョンがリリースされたばかりで、さらなる機能を強化・拡張に向けて協働で取り組む提案があったことから、医療機器・システムのメーカー販社に特有の業務ニーズを反映できると考え、2020年6月以降、ファーストユーザとして協働でエンハンスに取り組むことに。

松山氏:

「製造系のシステムをベースとした大がかりな構成管理システムやサービス管理システムもありますが、弊社が取り扱う製品について言えば、お客様ニーズにあわせて組み合わせる機器やオプションソフトを含めても、そこまでの規模は必要ありません。Salesforce を基盤とする中規模の構成管理システム「Blue Sheep 」をベースに、協働でエンハンスするというビーエスピーソリューションズの提案は、柔軟なカスカタマイズ構成や頻繁なバージョンアップを適切に管理したいという我々のニーズを実現する上で“近道” になると考えました」
 同社では「Blue Sheep 」活用に先立ち、同じくビーエスピーソリューションズが提供する「構成管理導入コンサルティングサービス」を導入し、As Is / To Be の整理からスタートしました。商品カテゴリにあわせ5つある事業ごとに、実際に販売してから納入するまでの流れを確認したうえで、その過程で発生しているペインを洗い出し、「Blue Sheep 」での情報登録をシミュレーション。機能や使い勝手について改善要望を出す形で、一緒にシステムを作り込んでいきました。

松山氏:
「適切なタイミングでの保守や更新をおこなうためには、販売して現場に設置するという一連の流れをきっちり登録しておく必要があります。2020 年6 月以降の約1 年間で、登録作業の自動化(メニュー化)や、既存の様々なシステムからデータを取り込む仕組みなど、業務効率化につながる機能を追加で開発いただき、データ移行を経て2021 年6 月本格稼働に至りました」

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